古くからバストは所有を示すものとして利用された

古くからバストは牛の焼き印のように、所有を示すものとして利用されてきました。

レンブラントの有名な肖像画『ユダヤの花嫁』には、新婦よりもかなり年上の新郎が右手で花嫁の左のバストをおおって、彼女が自分のものであり、父親のようなやさしい夫の庇護のうちにあることを主張しています。

花嫁は夫のまさぐるような手に軽くふれています。もっとも、これがしとやかさと従順と恥じらいを表わしているのかどうかははっきりしません。19世紀のアメリカでは、競りにかけられる女の奴隷は胸をはだけた写真を撮られ、家畜と同じ身分とされたのです。

ヨーロッパでは、乳房は打たれ、拷問にかけられ、切断されたのです。十七世紀、魔女はしばしば乳房を切りとられてから火刑に処せられました。

ババリア地方の墓掘り人と便所掃除人の家の娘だったアンナ・パッペンハイマーは、魔女とみなされてバストを切り落とされただけではすまず、それを目のなかに押しこまれ、ふたりの息子の口にもそのバストが押しこまれたのです。彼女の母性はグロテスクなやり方でなぶられたのでした。

大澤美樹の【バストアップラボ】