不登校・ひきこもり対策で大切なのは、対決や衝突を含む対応の中に、彼らの「自尊心」を高めるという重要な目標がしっかり自覚されていることです。
自尊心の高揚とは、自己愛が鍛えられていく中で心に徐々に形づくられていくものであり、失敗や挫折に正面から向かい合うような、ある意味で「否定との闘い」をくぐり抜けざるをえない面をもっています。
ひきこもり者や不登校者の自尊心を高めるためには、否定に立ち向かっていく面がどうしても必要となるのです。もしこのことを回避し続けると、彼らの自己愛は未熟な段階に留まり、その停滞した状態から抜けだせなくなってしまうのです。
たとえば、B男君は大学を中退し家に1年ほど、ひきこもりになった後、周囲の働きかけによって民間のフリースペースに通うようになりました。
徐々に元気になりアルバイトを始めるのですが、職場になじめず3日で辞めてしまいます。その後もアルバイトに何度か挑戦するが続かない・・徐々に働く意欲は失せ、ゲームづけの生活になってしまうのです。
また、フリースペースで知り合った女性に好意を寄せるが振り向いてもらえずに、そのうちに嫌がらせのメールや言動などのストーカー的な行為も現れるようになりました。
ひきこもり者や不登校者に対して、本人まかせで、あまりにも失敗を繰り返すだけになってしまうと、やっぱり失敗してしまう・・という例でした。